私をバイトから社員に昇格させてくれた仲間

20歳の頃、10代に勤務していたアルバイトを辞め、ちょうど何もしていない時期に、友達と会う機会がありました。そこで、知り合いのレストランで人手が足りていないので、周りに誰かいたら紹介してほしいと言われている話を聞かされました。

レストランと言っても、ファミレスのような気軽に食事が感じのお店ではなく、イタリアンレストランで、私も何度か前を通ったこともあり、いつかこんなお店で食事がしたいと思っていました。私には荷が重すぎると思い、やんわり断りましたが、友達の困った顔を見ていると断りきれず、アルバイトとして働くことにしました。

学校から帰宅してから、ディナータイムに5時間の勤務で、時給は850円でした。当時、サービス業に興味があった私は、毎日遅刻もせず、休むことなく勤務していました。私が受け持ったのは、提供するお料理の食器の準備とドリンクのサービス。料理長からの指示でお料理を出すタイミングを見て、お客様への提供でした。店内のテーブルクロスを替えたり、準備にかかる時間が多く、なかなか本格的なサービスはさせてもらえず、いつも雑用ばかりでした。

半年を過ぎた頃、仕事内容の向上がなく、毎日の雑用業務に不信感が募り、このままでは自分の為にならないと思った私は、店長に思い切って今の気持ちを打ち明けることにしました。すると、店長からは突き放した言い方をされたのです。

「バイトのくせに、言った事だけしておけばいい」

と一言だけ言われ、絶望感で一杯でした。アルバイト勤務は私だけで、他の5名は正社員での雇用だった為、勤務時間や出金日数、お休の希望など、割と融通を聞いてもらえやすく、その分私に負担がかかっていました。しかし、どうしても学校の行事などがある日は、先輩社員が勤務を変わってくれたり、混雑する週末に店長がいない時、こっそり休憩時間を伸ばしてくれたり、なるべく精神的にも肉体的にも負担がかからないようにしてくれていました。

ある日、その勤務体制が店長にバレてしまうハプニングが起こってしまいました。それは、店長がお休みの日にたまたま出勤してしまったからです。店長は、今までの経緯を文章にまとめろと言いました。その時、私を全力でかばってくれたのは、他の5名の社員の方々でした。とりあえず、始末書のようなものを提出しなければ、店長の怒りが収まらないと判断した先輩社員たちは、レポートを作成してくれました。これまでの私の勤務態度、仕事内容、時間外手当をもらっていないのに、自主的に残って翌日の準備をしていた事など、細かく私の勤務内容を記載してくれたのです。実はまかないも、本当は250円払わないといけないところを、店長がお休みの時は先輩が出してくれていたのです。正社員はまかない代はいらず、結局私だけが支払っていました。自分で夕食を持って行く事も可能でしたが、全員まかないを食べていたので、自分だけ食べないわけにはいかず、時給から引かれていることも疑問に思っていました。

先輩社員さん達がレポートを出してからは、店長の尋問が始まりました。嫌なら辞めてくれてもいいとハッキリ言われ、色々限界に感じていた私は、その後すぐに退職の意志がある事を先輩達に伝えました。すると先輩社員全員で、私を正社員として学校を卒業したら雇ってあげてほしいとお願いしてくれたのです。専門学校に通っていた私は、学業もあと半年だった為、正直就職先をどうするか、具体的に決めておらず、どこかでアルバイト経験を積んで、社員に昇格できればと考えていました。

夢のような話がうまく通るわけもなく、即却下されました。先輩社員は、私がいなくなると困ると、レストランのオーナーに今までの無理な勤務状態の全てを話をしてくれ、オーナーと直接面接をし、無事正社員になることができました。住宅街にある高級レストランともあり、客足が伸びず、私が正社員になって3年でお店を閉めることになりましたが、本当に心から支えてくれる人達に囲まれて、アルバイトでも同等に接してくれたことには、今でも感謝しています。今でも、先輩の何人かはたまにご飯を食べに行ったりして、今の仕事の愚痴などを聞いてくれています。