社員の行いでアルバイトの意識が変わる

私がアルバイトとして百貨店で働き始めたのは大学1年生の夏頃です。働き始めたきっかけは、大学へ入学して初めての夏休みに、一つの経験としてアルバイトをしてみようと思ったこと、そして接客を通じて様々な人とコミュニケーションをとってみたいと思ったことからでした。

業務内容としては、主に販売員として百貨店の地階で洋菓子の販売することです。その他に、開店準備や閉店準備、賞味期限のチェックに売上管理といったほとんどの仕事をアルバイトである私たちにも教えていただいていました。 アルバイト先のお店で扱っていた商品に関しても、箱に入った贈答用の焼き菓子から個包装のもの、ケーキなどの生菓子まで、多岐に渡ります。

そんなお店の性質上、常につきまとうのが賞味期限の問題でした。ケーキ等に代表される生菓子は特に賞味期限が短く、その日のうちに売り切らなければ破棄という形で本部へ報告することとなります。これはお店にとって大きな損失です。そのため日々お客様の動向をチェックし、できる限り過不足のないよう仕入れを行いますが、それでもどうしても商品が余ってしまうことはよくあります。そんな時、社員の方、特に店長はなるべくお店に損失が出ないよう、閉店後に余った商品を自腹で購入するということが多々ありました。もちろん、アルバイトである私たちも協力できる時は積極的に廃棄になってしまう商品を購入したりもします。ですが、それを毎回とは言わずとも頻繁に行う社員の方の真似をすることは、金銭的にも気持ちの上でもなかなかできませんでした。

やはりどうしても社員の方々の方がアルバイト店員である私たちよりもずっと、お店や会社に対する気持ち、「もっと利益を出していきたい」という目標に向けた想いがあり、そこの差をよく痛感していました。社員の方のためにも協力したいけど、でもそこまではやっぱりできないし…といった感情が自分の中でぐるぐると頭の中を回り、これがアルバイトを始めたばかりの頃はなんだか居たたまれないような、申し訳ないような、とてもネガティブな感情を持っていたのを覚えています。

ですが、そんな私たちに対して社員の方からアルバイトを非難するようなことは全くなく、自社商品の購入を強制されることも一度もありませんでした。それよりも、たまに廃棄になってしまう商品を購入したりすることで売り上げに貢献するだけで「本当にごめんね。ありがとう。」といった言葉をかけてくださっていました。

そんな優しく思いやりのある社員の方ばかりの職場だったからこそ、こちらも、頻繁にではなくとも「少しでも売り上げに貢献できたらいいな」という気持ちを持てていたのだと思います。このように、社員の方とアルバイトの身である自分の意識の差に最初は申し訳なく思っていましたが、社員の方の心遣いでその廃棄商品に対する行動へのネガティブな気持ちは段々と薄れていきました。そして、私は協力できるときに無理なくしていけばいいんだ、と思えるようになりました。

結局、当初繁忙期であった夏期限定の短期採用をしていただいたこのアルバイト先でしたが、その後も社員の方に可愛がっていただき私が大学を卒業するまで続けることができました。また、その間一度もその優しい店長の方が変わることなく一緒に勤務することができたので、今でもたまに連絡を取って一緒にごはんを食べに行くくらいの仲となりました。

社員とアルバイト、もしくは派遣やパートなど雇用形態の違いによる差は、文字で表わされるような条件面に限らず、働いていれば他にもいくらでもあると思います。ですが、お互いがお互いを気遣い合いながらそれぞれにできる仕事、行動をしていくことで自分自身も、そして周りで一緒に働いていく仲間も気持ちよく仕事ができることになるのではないかと思っています。